特集
【Shop Guide】vol.13
元気な野菜たち のっぽくん(石川県野々市市)
「無謀」から始まった30年

平成8年9月。私たちの店「のっぽくん」は、あまりにも無謀なスタートを切りました。創業者の両親がまったくの別業種から「行き場を失って困っている有機栽培農家の力になりたい」という一心だけで立ち上げたのです。当時の私たちは、商品知識ゼロ、食品小売の知識ゼロ、そしてもちろんお客様もゼロという、まさに「ないない尽くし」の状態。手元にあったのは、祖母が営んでいたものの閉店してしまった靴屋のワンフロアと、「農家を応援し、誰もが安全な食品を買える世の中にしたい」という熱い気持ちだけでした。
当然ながら、道は険しいものでした。創業から5年間は、文字どおり試行錯誤の連続。昼夜を問わずがむしゃらに働く日々が続きましたが、現実は厳しく、累積赤字を積み重ねる苦しい経営状況でした。

そんな暗闇のなかに光が差し込んだのは、オーサワジャパンさんとの取引が始まった頃のことです。時を同じくして、店の2階を自分たちの手で改装し、地元の正食協会の先生を招いてマクロビオティック教室を開講しました。さらに、百貨店に出店していた妻のフェアトレード雑貨店が退店することになり、店の奥へ移転。この「学び」と「暮らしの雑貨」が加わったことが転機となり、店としての認知度が飛躍的に高まりました。ひとり、またひとりとお客様が増え、なんとか黒字へと転換することができたのです。
平成17年には大きなチャンスが訪れます。店の2階に空きスペースが出た際、Mr.Childrenの桜井和寿さんらが設立した「ap bank」から融資を受けられることになったのです。これを機に、フェアトレードの衣類や雑貨を扱う部門を拡大し、玄米定食を提供する飲食部門も立ち上げました。狭いながらも「衣・食」をトータルで提案できる、フェアトレードと自然食品の専門店としてのかたちが整いました。
大きな転換期となったのは、平成29年です。地域一帯の再開発事業により、長年親しんだ場所からの退去を迫られました。しかし、これを「攻めの転機」と捉え、向かいの土地を購入して以前よりもひとまわり大きな新店舗を建設。1階には充実した厨房を整え、毎日ヴィーガン仕様のお弁当や惣菜を提供し、2階では雑貨販売とともにヴィーガンランチを楽しめる、現在のスタイルを確立しました。

創業から30年。今やオーガニック食品や自然食品は、スーパーやネット通販で24時間いつでも手に入るすばらしい時代になりました。かつての「珍しさ」というアドバンテージは失われ、資本力のある大手企業と同じ土俵で戦う厳しさを痛感する毎日です。物価高や競合の増加など、経営の悩みは尽きません。
しかし、だからこそ原点を忘れてはならないと感じています。30年前に抱いた「農家を応援したい」という情熱。そして、今日この場所へ足を運んでくださるお客様への感謝。それらを胸に、私たちはこれからも「のっぽくん」らしく歩み続けていきます。
(元気な野菜たちのっぽくん 代表取締役 小浦隆造さん)
元気な野菜たちのっぽくん さま
ホームページはこちら
Instagramはこちら
----------------------------------
LM「Life is Macrobiotic」ライフ イズ マクロビオティック
vol.13 カラダにやさしいお店を訪ねて 「ショップガイド」で紹介しています。
季刊フリーペーパー(冊子)とWEBメディア版でも発信中!
----------------------------------
