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小豆島の光と風
職人たちの技が紡ぐコシと風味
「オーサワの小豆島てのべそうめん」

もともとは、奈良時代に遣唐使によって日本に伝えられたという長い歴史を持つそうめん。         
「索餅」(さくへい)という、小麦粉を練り縄状に、ねじった菓子餅がその起源だそうで、宮中では七夕の儀式に欠かせない供え物でした。   
伝統的な製法である「手延べそうめん」の主な材料は小麦粉、塩、水、油といったシンプルなもの。 それだけに、その土地の水や気候が大きく影響します。そして、職人の経験と技術が問われます。


土地の恵みを存分に活かした製法を今に残す、手延べそうめんをご紹介します。

 

「オーサワの小豆島てのべそうめん」ができるまで 

 

風に絹糸のようになびく小豆島の手延べそうめん


真っ青な空を背景に、ずらりと並ぶ〝天日干し〟されたそうめん。風に吹かれ静かに揺れる様子は、天女の衣か、ハープの弦か……。

この美しい光景が、小豆島のところどころで広がっています。

この島は瀬戸内特有の、雨が少なく穏やかな気候、そして良質なごま油などの原料に恵まれ、

そうめんの三大産地のひとつとして長きにわたり知られてきました。

その味を支えているのは、明け方から夕方まで切れ目なく続く、職人たちの細やかな仕事です。

 「オーサワの小豆島てのべそうめん」は、この小豆島で100年続くマルカツ製麺所さんで作られています。

そしてこのマルカツ製麵所の味を守っているのは、6代目代表・三木政人さんとお母様のこずえさん、この道40年以上のベテラン元濱豊さんです。

 

 

機械そうめんと手延べそうめんの違い


そうめんには、〝機械そうめん〟と〝手延べそうめん〟の2種類があるのをご存知でしょうか? 見た目は似ていますが、製法が大きく違うため味も食感も別もの。

機械そうめんは、ローラーなどで薄く平坦にした生地を端から細く切っていくものです。

 

一方、手延べそうめんは「切る」のではなく時間をかけて「伸ばす」という伝統的なつくり方。板状にした生地を、様々な工程を重ねて「撚より」をかけながら長く細く伸ばしていきます。

そんな手延べそうめんは食べるときのコシも、ふわりと香る風味も、段違い。茹でてから時間が経っても味が保たれると言われています。

 

 明け方からの生地づくり「おで」が味とコシをきめる


 

そうめんづくりは、小麦粉と塩水を混ぜる〝おで〟という作業からはじまります。

練ることで、弾力と粘りが出て、そうめんのコシや味わいにつながる一番大切な作業です。

練り方も水の量もいつも同じではなく、その時季の気候や、小麦粉の種類や状態に合わせて調整されます。

職人さんたちが五感を研ぎ澄ましながら微調整を繰り返し生地を作っています。

 

 

 圧力で伸ばし、撚って伸ばし、 麺を鍛え続ける


 

 

 生地を麺にしていく最初の工程が〝板切(いたぎ)〟。

丸太のような塊となった生地を、約10㎝の厚さの板状に切り出します。

〝麺帯〟となった生地を重ね、圧力をかけて伸ばす〝圧ぺん〟を繰り返す。それにより弾力、つまりコシが出てきます。

その後は、ごま油を塗りながら麺帯を棒状に伸ばす〝油返し〟、「巻き機」で撚りをかけていく〝中より小より〟へ。生地の塊は、徐々に麺の形に近づいていきます。

そして、前半の締めともいえる〝かけば〟に。

これは、棒状になった生地を「かけ機」でどんどん引っ張りながら生地を撚り、さらに細く麺状に伸ばす工程。

 直径1㎝ ほどになった麺帯がぐるぐるとかけ機にかけられ3〜4㎜ ほどに細く伸びていく様子は圧巻! 

味わい深い機械の動きは、ミシンのような、繭から糸を取り出すのに使われた座繰り機を見ているようで、どんどん変わる麺の姿に目が離せません。   
 

 

 

 

 待って熟成させることを心がける


できあがった麺を2本の「クダ」とよばれる道具に8の字にかけ、「寝びつ」にいれ2時間ほど寝かせます。

その後、寝かせた麺をさらに引っ張り、3㎜ の太さにする〝小引き〟を経て再び寝びつへ。

何度も寝かせることで麺が鍛えられ、コシが強くなり、おいしいそうめんに近づきます。

そうして熟成させた麺を、「伸ばし機」にかけて伸ばし、「ハタ」という乾燥台に引っ掛けます(門干し(かどぼし))。

そのとき、くっついている麺を2本の長い箸を使って〝箸分け〟という工程でほぐします。

この工程を経て、麺は太さ0.8㎜ のそうめんになります。

 

 

「天日干し」太陽と風が旨味を加える


さて、いよいよ〝天日干し〟です。「ハタ」ごと麺を外へ出し、天日に当てます。

太陽に当てた方が、紫外線の作用なのか旨味がさらに増すそうです。

乾かすための風を読むことも大切で風を読みきれないと麺が切れてしまいます。

空気の状態に合わせ麺を干す作業は、職人さん達の経験と五感が問われます。

そうめんづくりは、ここまでの工程でじつに8時間。さらに室内干しで1日寝かせ、断裁する〝小割り〟を経て製品となります。

 

 

手延べにかける職人たちの 想いを継いでいく


「同じ銘柄の小麦粉でも小麦が育った畑や土が違うから、練ってみないと分からない。

季節や風向き、天候を読み取ることもふくめ、すべて自然との対話です。毎日『今日はどんなふうにできるんだい?』と心の中で語りかけています」

小豆島の味と技術を守るべく日々奮闘する三木さんはそう語ります。

機械の進化や、工場ごとの設備の違い、そして後継者不足も重なり、そうめんをめぐる状況は年々変化しています。

その中でも三木さんは、先輩の職人たちとの交流を深めたり、そうめんの魅力を広く発信する「全国そうめんサミット」にたずさわったりと、時代に合わせたチャレンジを続け、小豆島のそうめん産業全体を盛り上げる活動もされています。

手延べにかける職人さんたちの想いと瀬戸内の恵みを浴びて、そうめんづくりは連綿とつづきます。

 

職人の細やかな仕事ぶりがご覧いただける動画

「オーサワの小豆島てのべそうめんができるまで」を公開しています。

ぜひご覧ください。

 

 

「オーサワの小豆島てのべそうめん」を楽しむレシピ


 

カッペリーニ風そうめん

 

梅にゅうめん

 

かた焼きそうめん

 

 

そうめんパイ

 

記事の全文は、WEBマガジン&フリーマガジンLMvol.5「手延べそうめん」でご覧いただけます。

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